極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
「咲島は……ふうん。それで朝一で家を出てったわけか。まぁ、座れよ」

ふうん、って。私の精一杯のメイクと一張羅にそれしか感想がないんだ……。

しかも、逢沢さんの前で同棲をほのめかして。当の逢沢さんはドライな表情をしているし。

なんだかいたたまれなくなって、地味に針で攻撃されているように胸の奥がちくちくと痛んだ。

私たちも並んで神崎さんの向かいに座った。さっそく神崎さんが本題を切り出す。

「で、なんだ? 契約の話か? 俺が取引相手に二課を指名したことで上層部が戦々恐々としたか?」

のん気な様子の神崎さんに、逢沢さんは呆れたように腕を組む。

「まぁ、あらかたお前の予想通りの動きをしているのだろう」

「総売上の半分を占める利益――普通に考えれば、計上先の奪い合いだよな。だから俺がわざわざ二課を指定してやったのに」

「指名されたこちらとしてみたら、そんなに気楽にはいかないよ。チャンスにはリスクがついて回る」
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