極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
逢沢さんは失敗したときのことを考えているのだろう。

利益が大きいということは、かける経費も莫大だ。費やすだけ費やして、契約がうまくいかなかったら、それこそ会社が傾きかねない。

「悪いようにするつもりはないけどな。……まぁ、そんな額の依頼が来たら、俺でも多少は躊躇するかもしれない」

「他人事だと思って」

逢沢さんは眉をしかめて睨んだ。対する神崎さんは、開き直ったようにソファにふんぞり返って軽くいなす。

「本当に、深い意味なんてないんだ。俺だって自分をここまで育ててくれた会社と部署のみんなに感謝くらいするさ。退社も唐突だったしな。申し訳ないとも思っている」

それでもまだ逢沢さんは疑い深い眼差しで神崎さんを注視している。やっと真面目に話す気になったのか、神崎さんが身を乗り出した。
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