極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
「それに俺は『アストロ』のシステムの品質は充分魅力的なものだと思っている。今、うちの業務システムは、古くからのアナログな慣習と中途半端にシステム化した業務が混在して、ひどく効率が悪い。遅かれ早かれ、全業務をシステム化するような大胆な改革が必要だと思っていた。それなら自分のよく知る会社に任せたい」

神崎さんの熱を帯びた眼差しから、この言葉は真実だろう、と私は思った。

逢沢さんも同じように感じたのか、真剣な顔で腕を組む。

「これまで世話になった礼だ。この売上で二課のみんなのボーナスに色をつけてやってくれ」

感謝、そして恩返し――これこそがこの話の発端であり、すべてなのだろう。納得したように、逢沢さんが肩を落とした。

「それならそれで、なぜ咲島さんを巻き込んだ。管理責任を負わせるなんて、あんまりだ」

「今の咲島なら大丈夫だろう。去り際に一年分の宿題を置いといてやったんだ、それくらい出来るようになっててもらわないと困る」
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