極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
「まぁ、細かいことはそちらに任せる。咲島を担当に据えたところで、どのみち、お前やお偉いさん方は口を出すんだろう」

「経験の少ない彼女ひとりに重い責任を背負わせるわけにはいかないからね」

「それでいい。せいぜい咲島に経験積ませてやってくれ」

ククッと楽しそうに笑うと、神崎さんはふっと微笑んで瞳を閉じた。

「俺からの釈明は以上だ。次に会うときは、具体的な提案資料を持ってきてくれ」

「……これ以上問い詰めても、出てはこないということだね」

逢沢さんは短く息をつくと、吹っ切れたのだろうか、すくっと立ち上がる。

「行こう。咲島さん。俺たちが個人的に動けるのは、ここまでだ」

「……わかりました」

足元に置いていたバッグを抱えて、私は神崎さんに一礼する。

逢沢さんの後に着いていこうとすると。

「……悪い、逢沢。こいつを置いていってくれるか?」

唐突に神崎さんが切り出したので、私はびくりと足を止めた。
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