極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
「……なぜ? 言っておくが、まだ勤務中だからな」

「ここまでお膳立てしてやったんだ、ちょっとくらい融通利かせてくれたっていいだろ?」

神崎さんが私の手首を掴み、グイっと引っ張った。

困惑して神崎さんと逢沢さんの間で視線を行ったり来たりさせていると、見かねた逢沢さんが静かに口を開いた。

「嫌なら嫌と、はっきり言ってくれてかまわないからね」

それでも、無下に非難することもなく、私への選択の余地を残してくれた。彼なりの気使いだろう。

「……大丈夫です。先に行っていてください」

「……わかった」

渋い顔で逢沢さんが社長室を出ていく。

バタン、という扉の閉まる音が響くなり、神崎さんが私を後ろから抱き寄せてきた。

「ちょ……神崎さん!」
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