極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
『悪い影響しか与えないような彼女なんて、彼には不要よ』

水上さんの辛辣な、けれど真っ当な言葉が呼び起こされて、涙があふれそうになる。

『お願いだから、彼と別れて。あなた、彼に相応しくない』

私は……彼に相応しくない……?

神崎さんの隣に並ぶなら、私より水上さんの方がお似合いかもしれない。

優秀で美人で、しかも神崎さんよりも年上の、頼りになる大人の女性だ。私とは比べ物にならないよ。

神崎さんだって、水上さんと話すときはちゃんと敬意を払っていた。

それだけ尊敬できる人物ってことなんだろう。水上さんは、きっと神崎さんにとって特別な人なんだ……。

暗い気持ちを引きずりながら、神崎コーポレーションの前の大通りを歩いていると。

「咲島さん?」

声に顔を上げれば、逢沢さんが街路樹の脇のガードレールにもたれていた。

私の蒼白な顔色と潤んだ瞳を見てなにかがあったと察したようだ、急いで近寄ってきた。
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