極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
「どうしたの? なにがあったの?」

「逢沢さん、帰ったのでは……」

「君が心配だったから、しばらく待っていようと思って……それより、どうしてそんな顔をしているんだ? 神崎になにかされたのか?」

私は大きく首を横に振る。神崎さんは、なにも悪くない。悪いのは不安に駆られている私自身だ。

「いえ……なんでもありません。慣れないことをして、少し疲れただけです」

「言いたくないなら聞かないけれど。俺でよければいつでも話を聞くから」

優しすぎる逢沢さんの笑顔が、不意打ちで目に飛び込んでくる。

途端に緊張が解け、ボロボロと涙があふれだし、止まらなくなってしまった。

「ごめんなさい……私……」

突然泣き出した私に、逢沢さんは困惑する。「さ、咲島さん!?」しばらくオロオロとした後で、どういう考えに行きついたのか、そっと私の肩を抱き、忌々し気に吐き捨てた。

「……大丈夫。全部悪いのは神崎だ。君はなにも悪くない」
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