極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
「離してください……」

ショックで視界が滲んだ。

その上、こうして私を押さえつけていることさえ、恋愛感情ではなくて神崎さんへのライバル意識なのだろう。

神崎さんのいない一年間、私を支え続けてきてくれたのは、親切心ではなくて、神崎さんへの対抗意識だったんだ。

「離して!」

「抵抗しないでくれ」

「いや――」

思わず頭に浮かんだのは、いとおしい人の顔。

例え分不相応でも、不釣り合いでも、私がこの身を捧げたいと思えるのは彼だけだから。

「――神崎さん!!」

思わず彼の名を呼んでいた。

助けにきてくれるはずがない。

勝手に家を飛び出してきてしまったのは私だ、今、ここにいることだって知らないだろう。

悲鳴は虚しく、逢沢さんの唇が私に近づいてくる。

いやだ。私の唇は神崎さんだけが触れていいのに。

「助けて――神崎さん!」
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