極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
三月の最終日。営業二課の送別会。

二次会、三次会とお酒を注がれるがままに飲み干していた私は、気がつけばひとりで歩くことすらままならなくなっていた。

タクシーに押し込まれ、自宅マンションの前まで辿り着いたはいいが、そこから部屋までの道のりは彼のおんぶに頼らざるをえなかった。

「まったく……上司をなんだと思ってる」

マンション前の階段をせっせと上りながら、私の下の彼がぼやく。

「ほら、しっかりしがみついてろ、落ちるぞ」

しがみつけと言われても、酔っ払いの私にしてみたら、これ、結構重労働だ。気を抜いたら落っこちてしまいそう。

「……お姫様だっこにしてもらえませんか?」

「寝言は寝て言え」

「……冗談です」
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