極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
四月から神崎さんが抜け、新体制となった営業二課。

体制が変わったこともあるけれど、今、目の前に広がるオフィスは、以前とはまったく別物に見える。

昨日までこのオフィスには、神崎さんの指示出しの声が響き渡っていた。

声のボリュームが大きかったというのもあるが、彼の存在感は絶大だった。

オフィス全体が彼のエネルギーで満ちあふれていた。

ノージャケット、ノーネクタイに、光沢の入ったグレーのベスト、それが彼の、オフィスでの仕事スタイルだった。

なんとなく彼の幻が見えた気がして、目をゴシゴシとこすった。重症だ。

その上、昨晩の出来事が衝撃的すぎて、まだ心が痺れている。

 ――愛してる――

甘いささやきと、彼の逞しい素肌が脳裏をよぎり、顔が火照る。

ちなみに、二日酔いで、新年度初日というのに体調は最悪だ。

ついでに、昨晩彼に酷使された体が今さら悲鳴をあげている。
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