極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
「逢沢さんには、なるべくご迷惑おかけしないように気をつけます……」

「とんでもない。優秀な咲島さんと一緒に働けてうれしいよ。前から、君と一緒にやらせてほしいって、部長や神崎にかけ合っていたし」

「えっ……?」

思わず目を丸くしてしまった。逢沢さんは、私のことをそんなに評価してくれていたの?

「聞いてない? 要因調整の件で、ぜひ咲島さんを引き抜きたいってお願いしてたんだけど、どんなに交渉しても神崎は受け入れてくれなくて」

もしかして、昔提案された昇進と異動のお誘いは、逢沢さんがくれた話なの?

たいして詳細も聞かずに断ってしまったから、誰から勧誘されたのかすらちゃんと確認していなかった。

「ごめんなさい、その件は、私がゴネてしまって……」

「君がNOと言わなくても、神崎が君を手放さなかったと思うけど――」

逢沢さんはうつむいてフッと笑みをこぼす。その表情が一瞬、暗く影を帯びたものに見えて、私はあれ? と瞬きした。気のせいだろうか

「――まぁ、終わったことはさておき、これからはよろしく頼むよ」

逢沢さんが私の肩に手を置き、ふんわりと微笑みかけてくれる。
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