極上恋夜～この社長、独占欲高めにつき～

今日からは逢沢さんの部下になるのだ。新たに気を引き締めて精一杯頑張らなくては。

「こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします」

私が頭を下げていると、「咲島さーん！」離れた場所から私を呼ぶ声がした。

「さっそく出番みたいだ。行っておいで」

「はい！」

コピーし終わった用紙を抱えながら、私は声のした方へとかけていく。

向かった先には同期の加藤さんがいた。

私とは違う女子力１００パーセントの彼女は、今日もふんわりと巻かれたミルクティー色の髪を指先でくるくる弄んでいる。

マスカラ強めの大きな瞳に、グロスたっぷりのぷるぷる唇。

あえてちょっと頼りなさ気に振る舞っているときもあるみたいだけれど、これでいて結構しっかりしていて、仕事はキッチリこなすタイプだ。

ちなみに、加藤さんは以前、神崎さんに猛アピールをかけていたのだが、神崎さんは子どもをあやすように華麗にスルーしていた。