極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
神崎さんがいなくなって穏やかになったはずのオフィスが、途端にてんてこ舞いになった。

彼は課全体の監督をこなしながらも、自らも案件をいくつか抱えていて、常人には不可能なレベルの仕事量をこなしていたから、それを別の人が引き継ごうとすると数人がかりになってしまうのだ。

しかも、彼担当の案件の詳細を知るものは、補佐をしていた私くらいしかいない。

必然的に、全部の質問が私へ集中するわけで……。

「咲島さ~ん!」

「ごめん、これも頼むよ」

「悪い、教えてもらっていい?」

あっという間に待ち行列が出来てしまった。

パソコンのディスプレイにタスクを書いた付箋を貼っていったら、ライオンのたてがみのようにぐるりと一周してしまい、今日、私は家に帰れるのだろうかと不安になってしまった。
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