極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
「そのまんま。君にしか、引き継ぐ気がなかったのかもしれないよ?」

「なっ……」

なんだそのはた迷惑な理由は。そんなの、私がいっぱいいっぱいになるのが目に見えているじゃない。

「なぜそんなことを……」

ムッと頬を膨らませると、逢沢さんは困ったように笑いながら、目線をどこか遠くへ向けた。

「親心……あるいは愛情かな。きっと自分の財産は全部、大事な人に渡してあげたかったんだと思うよ」

「……はい?」

言っている意味が、いまいち理解できなかった。財産って、案件のこと? 大事な人って、もしかして私?

「……よく、わからないんですが」

「教え子がかわいいのはわかるけどね。溺愛するのも、困りものだな」

呆れたように逢沢さんが呟く。

かわいい? 溺愛? 冗談でしょ?
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