極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
「まったく、覚えていません……」

「だろうな。お前、俺の顔まともに見なかったもん」

うわ、それって、ものすごく失礼なことなんじゃないだろうか。面接官に目も合わせないなんて。

よくそれで受かったなぁと、今さらながらにゾッとした。

「面接試験の合格者は、まず優秀そうなやつを上から順に引っこ抜いていく。最後に余った枠は、全体のバランスを見て、性格や行動が周りとは被らない人間を試験的に採用する」

「はぁ……」

「お前は最後のひとり枠だ。俺が押した」

「そ、そうだったんですか……」

おかしいなぁとは思っていた。

営業部の同期は、みんな社交的で活発で、ぐいぐい前に出るようなタイプだったから。

どうしてこんなに控えめで平凡な私が受かってしまったのだろうと、同期の間でも謎として語り継がれていたくらいだ。
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