極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
「神崎さんがいけないんです。あんなにカパカパ飲むから……」

「たいして強くもないくせに張り合うな」

なんだか悔しくなって、彼の耳のうしろに頬を寄せてぎゅっとしがみつく。

飲みたくもなるよ。突然別れを突きつけられた、こっちの気持ちも知らないで……。

「……これからはビール一杯にしとけ。もう俺は送ってやれないんだから。他のやつに迷惑かけるなよ」

「神崎さんがいなくなったら、逢沢さんに送ってもらおうかな」

「あいつはやめとけ」

「どうしてですか?」

「狼だから」

「逢沢さんが狼ぃ?」

神崎さんと逢沢さんは同期入社で、営業二課のエースの座を争っていたふたりだ。

仕事の腕もさることながら、ルックスも一流で、社内の女性人気を二分している。

神崎さんが直感的で雄々しいタイプであるのに比べて、逢沢さんは流れる水のようなしなやかさを持つ、冷静で論理的なタイプだ。

どちらかといえば狼は神崎さんの方で、逢沢さんは言うなれば優しくて穏やかな草食動物だろう。
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