極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
第三章 Reject――もう一度愛されて
あっという間に神崎さんと別れてから一年が経ち、また新年度、春がやってきた。
営業二課は、今や神崎さんがいないことが当たり前となっていて、以前とはまた違った活気を帯びている。
「おはようございます」
ちょっとお硬めの黒いパンツスーツに身を包み、私は朝九時に出社した。
今日はいつもよりほんの少し気合いが入っている。
今まで、神崎さんの残した既存案件で手一杯になっていた私だが、とうとう、新規顧客の開拓に乗り出すことになったのだ。
既存の顧客は、長年取引を交わしてきた信頼関係がある分、付き合いが容易である。
それに比べ、新規の顧客というのは、まず信頼を勝ち取るところから始めるから、難易度がぐんと跳ねあがる。
この仕事を任せてもらえたのは、きっとこの一年、神崎さんがいなくても、ひとりで一生懸命頑張ってきたから――その努力と成果が認められてのことだと思う。
光栄であると同時に、どこか安心した。
神崎さんに縋りつかなくても、なんとか生きてこれた一年間に……。
営業二課は、今や神崎さんがいないことが当たり前となっていて、以前とはまた違った活気を帯びている。
「おはようございます」
ちょっとお硬めの黒いパンツスーツに身を包み、私は朝九時に出社した。
今日はいつもよりほんの少し気合いが入っている。
今まで、神崎さんの残した既存案件で手一杯になっていた私だが、とうとう、新規顧客の開拓に乗り出すことになったのだ。
既存の顧客は、長年取引を交わしてきた信頼関係がある分、付き合いが容易である。
それに比べ、新規の顧客というのは、まず信頼を勝ち取るところから始めるから、難易度がぐんと跳ねあがる。
この仕事を任せてもらえたのは、きっとこの一年、神崎さんがいなくても、ひとりで一生懸命頑張ってきたから――その努力と成果が認められてのことだと思う。
光栄であると同時に、どこか安心した。
神崎さんに縋りつかなくても、なんとか生きてこれた一年間に……。