極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
「これ……って……」

「新社長の名前は神崎京吾――神崎課長のことだよ!」

「……嘘……」

くらっと眩暈がした。

カリスマ? 新社長? いったいどういうこと?

神崎コーポレーションといったら、しらない人はいないくらい有名な、日本を代表する大企業だ。

神崎さんが、そこの社長に就任? いや、確かに苗字は同じだけど、でも、そんなことあるわけ……。

「そんなところで集まって、なにしてるんだ?」

背後からかけられた声に振り向けば、ノートパソコンを小脇に抱えた逢沢さんの姿。

朝の進捗会が終わり、その帰りのようだ。

「逢沢課長! これ見てくださいよ!」

加藤さんが逢沢さんの顔二十センチのところに雑誌を広げた。

逢沢さんはうっとうしそうに距離を離しながらも、記事の内容を見て、眼鏡の奥の瞳をわずかに大きくする。

「……そうか」

あまりに冷静な反応に、加藤さんはきょとんと首を傾げた。
< 61 / 227 >

この作品をシェア

pagetop