極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
指し示す方向を見ると、ハンガーに夕べまで着ていた服がかかっていた。

その気遣い、ありがたい。いや、ありがたくはない? 私、服脱がされたってことだよね?

しかも今、私の下着に文句つけてなかった?

肌掛けにくるまったまま混乱している私を呆れたように眺めながら、神崎さんは上半身を起き上がらせた。

腹筋が割れていて眩しい。一年前は、朝まで一緒にいなかったから、くっきりとした凹凸に気づかなかった。

「それより、お前会社、どうすんの? 昨日と同じ服のままでいいのか」

ひく、と私は表情を強張らせる。

それは社会人としてまずいと思う。それどころか、彼に抱きかかえられてここまできたせいで、もしかして靴すらないんじゃ……?

「他人事みたいに言わないでください! 神崎さんが悪いんですよ!? 強引に私をさらってくるから!」

「わかったわかった。車で家まで送るから、ピーピーわめくな」
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