極上恋夜~この社長、独占欲高めにつき~
シャワーを浴び終えてやっと冷静になった私は、あらためて辺りを見回して、この家の豪華さに息をのんだ。

豪邸と言っても遜色のない部屋の数々。広々とした間取りに、海外セレブの邸宅を思わせる大ぶりな家具。

部屋や廊下にはモダンなアートが飾られていて、素人には真似できないハイセンスなインテリアだ。

リビングは、片側の壁一面が窓になっていて、ブラインドの向こうには高さ三十階から見渡す都心が広がっていた。

……神崎さんって、こんな贅沢な高級マンションに住んでいたんだ。

家具がまだどれも新しそうなところを見ると、会社を辞めて社長になってから越してきたのかもしれない。

「神崎さんが、こんなに部屋にこだわる人だとは思いませんでした」

仕事以外は大雑把だから、住めればいいとか言うタイプだと思ってたのに。

神崎さんはキッチンに立ってフライパンを振るいながら答える。

「面倒だから、全部インテリアコーディネーターに任せたらこうなった」

……やっぱり面倒くさかったんだ。

とはいえ、この部屋に自然と馴染んでいる神崎さんの存在感もなかなかのものである。

シャツとスエットパンツというラフな格好ですら、洗練されていて素敵に見える。
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