私と英雄の物語
もう何もかもが嫌になって屋上を飛び出した。
背中にぶつかる綾人の声
そんなのも聞こえずにがむしゃらに走って
気がつけば体育館裏に来ていた。
「何やってんの。」
誰かの声がする。でも今は入学式中。
この声はきっと空耳。そうに決まってる。
「なーさんが入学式にいなかったから心配して来てやったのに…なんで泣いてんの」
でもそれは私に向けられたしっかりした声で
友達の弘樹(私達がひろと呼ぶ人)の声だった。
え。と思い顔を上げるとやっぱり本物のひろで
「っぐ…ひろぉ…」
って泣きながら起こったことをひろに説明した。
「そっか。ねぇ、なーさん」
「俺は綾人みたいになーさんを泣かせない」
「それに俺はずっとなーさんが好きだよ」
「え…?」
あまりの衝撃に目をぱちくりさせてひろを見ると
ひろもびっくりしたような顔で
「え?俺今なんて言った…」
「私のことが好きだって…」
「っ!忘れて、今の……絶対だからね」
ほら行くよってひろは私の手を引いて私達はそのまま学校をサボった…
結局家まで送って貰って疲れてたのもあって私はすぐに寝た。
あれは多分ずっと忘れない