はつ恋【教師←生徒の恋バナ】

・若菜サイド

卒業式前、3年の送別会が行われた。



書道部もステージパフォーマンスをするけど、文化祭からずっと2年の反感喰らってる私は、今回も辞退しろと迫られた。



だけど、ジイサンの門下生の部長だけは庇ってくれた…というより



「桐生さんを出さないなら、出し物に参加しない!」



って言ってたから、断ったところで無理矢理出させられたと思う。



3年の前部長が先頭に立って引っ張って行くのに対し、2年の現部長は自分の意見をあまり言わないタイプだから、彼女の発言には周りが面食らってた。



他の2年が呆然としてるうちに、私が出ることになってしまった。



ステージで、卒業を祝う言葉を書く。



書き終えた後、部長が私の手を取り両腕を挙げて3年の歓声に応えていた。



正直、戸惑った。



部長は私を目障りだと思ってるはずだし、他の2年と対立したまま。



「みんな注目してるんだから、もっと笑わなきゃ!」



部長が客席をあごで指すので、その方向を見た。



客席前方にいる前部長が、涙を滲ませて拍手をしてる。



引退するとき、私と2年を対立させたまま和解させられなかったって…。



ずっと、自分を責めてた彼女。










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