はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
スポーツは壊滅的なこの私が、運動部の門まで叩いた。



その時、蒼が教えてくれた。



「坂下先生が、桐生の入部を断るよう圧力かけてる。」って。



「余程、手放したくないんだな…。

可愛がられてるじゃん!」



なんて、見当外れなことも言ってたけど。



私は椅子から立ち上がり、自分の書道具を持ち出そうとした。



「それを何処へ持ち出そうというのですか?」



「自分のものをどこへ持って行こうが、関係ないし!」



「書くことが嫌になったのでなければ、いつでも書けるよう道具は置いておきなさい。

よそで使うことがあるなら、これをお貸しします。」



そう言って、坂下は自分の道具を私に手渡した。



そして、それだけじゃなく…。



「活動日以外、私は極力ここには近寄りません。」



部室の合鍵まで、くれた。



その手が、私のことを『ワカ』って呼んでくれてた時と同じように温かいから…。



涙が、こみ上げてきた。










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