はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
喫茶店に戻る頃には、日が暮れていた。



昼間でも気味の悪い裏通りは、さらに不気味さを増している。



「ツライことでも、あった?」



私の前に立ちふさがった男が、話しかけてきた。



何でそんなコト聞くの?



あぁ、そっか…。



坂下と部室で別れ、さっきまで泣いてたから目が腫れてるんだろう。



「良いモノ、あるよ。」



そう言いながら、私の目の前に小さな包みを翳した。



クスリ…だよね?



黙ったままの私に、男は続けて話す。



「こんなの、タバコみたいなもんだから…。」



「それ使ったら、楽になれる?」



家や学校、坂下のことさえも忘れられるなら…。



「イイ気分になれるよ。

試してみたいなら、1つだけあげようか?」



その言葉に、私は手を伸ばす。









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