はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
突然後ろから伸びた手に、手首を掴まれ捻り上げられた。



「痛っ…。」



見上げると、ここにいる筈がない蒼がいた。



「邪魔すんじゃ…。」



怒鳴りかけた男の声が、ピタリと止まった。



蒼が左手で私の手首を掴んだまま、右手の竹刀の先を突きつけたからだ。



深夏の情報じゃ、蒼の腕前はかなりのものらしい。



竹刀を向けられた男は、蒼の体格と気迫にびびったのか逃げ出してしまった。



蒼は私から手を離すと、竹刀を左手に持ち替える。



「鬼マサ、何でここに…?」



蒼はそれには答えず、私を見下ろした。



「桐生、さっきの男が渡そうとしたもの、何か分かってるんだろ?」



「麻薬。」



そう言った瞬間、蒼は手を挙げて私をめがけて振り下ろす。



とっさに身体を竦めた私の耳に、バシンッ!!って音が響いた。



大男の手で打たれたら相当痛い筈なのに、痛みは感じなかった。



恐る恐る目を開けると…。









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