はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
喫茶店を出た私は、放課になった学校へ向かった。



坂下の書道具を返しに来たけど、部室は開いてなかった。



「合鍵、持ってないし…。」



黙って部室に置いて済ませたかったけど、仕方ないか。



億劫だと思いながら、職員室に向かう。



途中、2年の教室の前を通りかかると、数人の同級生の声が聞こえた。



「桐生さんって最近学校で見かけないけど、イジメにでも遭ってるの?」



「さぁ?そういう話、聞かないけど?」



「じゃあ、今日の学年集会って何の意図があったんだろ?

アレ、絶対にイジメ調査だよね。」



へぇ…、そんなコトあったんだ?



「ってか、担任が授業で吊るし上げてるみたいよ?

ウチのクラスは体育合同だから、『真面目にやれ!』みたいなカンジで怒鳴ってるのよく聞くし。

私なんかより、あのコの方が真面目にやってるんだけどね…出来ないだけで。」



担任の話が出たところで、聞く気にもなれない私はその場を後にした。



だから、この後に続く話までは聞いてない。



「何ソレ?アイツ、今日の集会で1番張り切ってたじゃん。

何か、シラけるよね~。」



「だよねー。」








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