はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
手首に巻かれた翠子のロザリオを外しがたくて、そのまま眠りに就いた。



「……な、…かな。」



うるさいな、誰よ?



人が、気持ちよく寝てるっていうのに…。



「おい、若菜!」



大声で名前を呼ばれた私は、覚醒を余儀なくされた。



「なんだ、お兄ちゃん…って、ええーっ!?」



「何、素っ頓狂な声あげてるんだ?」



そりゃあ…。



「だって、お兄ちゃん死んだはず…。」



「だから?」



「のっ…呪いに来たの!?」



私のセリフを聞くと、呆れたようにため息をついた。



「誰が…。

それよりも、人の日記なんて勝手に読むなよ。」



「だったら、死ぬ前に処分しておけば?

ってか、日記なんて書かなきゃ良いし。」



それに対して、お兄ちゃんは何も言わない。



いつもなら、私を言い負かすのに…。



「いや、そんなこと言いに来たんじゃない。」



「じゃあ、何なの?」



お兄ちゃんは、咳払いをしてから言った。



「黄金さんのこと、…ありがとな。」



お兄ちゃんがお礼言うなんて、初めてじゃない?



「若菜は自分の気持ち、隠すなよ。

じゃあな。」



そう言うと、消えていった。



気がついたら、部屋に陽が射し込んでいた。



どうやら、夢を見ていたらしい。



それにしても、随分勝手なこと言ってくれたよね。



「坂下に、言えるわけ無いし…。」








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