はつ恋【教師←生徒の恋バナ】

・若菜サイド

「乙女よ、今日も元気にロザリオの祈りを唱えているか?」



そのセリフに、部室で飲んでるイチゴ牛乳を吹き出した。



「汚ぇー!

翠子、コイツのどこが気に入ったんだか…。」



噎せる私に、追い討ちをかけるように話しかけたのは、野田先輩。



机をティッシュで拭きながら、言葉を返した。



「野田先輩こそ、どこが気に入られたんだか…。」



「悪かったな…。」



不機嫌そうに言いながら、濡らした雑巾を手にして机を拭いてくれた。



彼はこういうところが気に入られたんだろう、多分。



そして私は…、ドコが気に入って翠子はコレを託したんだろ?



私は、手首に巻かれたロザリオを見つめた。



新学期早々、コレを巡って教師たちの物議が醸し出されたのを思い出した。



アクセサリーは校則違反だけど、宗教色の強いコレをどう扱うべきか…。



余合先輩が首から下げてるロザリオはウッドビーズで、制服の下に隠しているから問題視されることはなかった。



だけど私の場合、手首に巻いていることと、連なった珠が緑色なのが好ましくないようだ。



後で分かったことだけど、この珠が翡翠じゃあ…。



教師たちが騒ぐのも、無理はない。







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