はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
保健室を出ると、生徒会室で抹茶を点ててくれたコに会った。



「翠子様は?」



「先輩に付き添ってるよ。」



そう言うと、恋人たちの邪魔をしては悪いと思ったのか、踵を返した。



「少し、お話ししませんか?」



そう言うので、彼女について行く。



校舎を出て少し歩くと、辿り着いた先は礼拝堂だった。



「ローザリーの契約、いつ結ばれましたの?」



また出たよ、ワケ分かんない“ローザリー”って言葉。



とりあえず、このコに聞いてみれば良いか。



「契約って、ローザリーって…何?」



聞くと、彼女は目を見開いて私を見た。



「翠子様から、お聞きになっていませんの?

昔からの伝統で、生涯お付き合いしたい特に親しい方1人だけと、ロザリオを交換いたしますの。」



…で、その特別なコをローザリーって呼ぶんだ?



とりあえず、結構イタイ伝統だというのは分かった。



「だったら、私はローザリーじゃないよ。

これは翠子さんが巻いてくれたけど、私は交換するロザリオなんて持ってないし…。」



手首に巻かれたロザリオを示しながら言うと、



「私は、翠子様のローザリーになりたかった。

ううん、私だけじゃない。

翠子様に憧れてるコは、大勢いるの。

なのに、ローザリーじゃないなんて…。」



彼女は、ボロボロと涙を零しながら言う。



「だったら…。

だったら、すぐにロザリオをお返しして!

ローザリーが何であるか分かりもしないあなたに、翠子様のロザリオを持つ資格なんて無いわ!!」









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