はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
体育祭の締めくくりは、選抜リレー。



各学年の男女と教員を1人ずつ出して、走らせる。



1年の男子からスタートして、アンカーは教員。



ここで1位になれば、朱火組の優勝。



だから、みんなの応援にも熱が入る。



朱火組は、ウチの担任がトップを走ってた。



「アイツ、青組の応援席に気を取られてる。」



私の左側にいる澤弥先輩が、ウチの担任を顎で指した。



「大方、チアガールの脚に注目してるんだろ?」



私の右側にいる野田先輩が、呆れたように言う。



そのせいか、後ろから迫ってくる蒼の射程距離内に入った。



蒼の奴、体育教師相手に勝負するというのか?



だとしたら、面白い。



担任と蒼が、最後のカーブを曲がったところで



『仇、討ってやるから。』



ふと、午前中に蒼から言われた言葉を思い出した。



ゴール目前の直線で、朱火組応援席の前を通る。



みんながウチの担任を応援してる中、私は…。



「鬼マサーっ、頑張れーっ!!」



その途端、両隣から突っ込まれた。



「桐生、誰応援してんだよ!?」



「桐生ちゃんも、蒼のファンなの?」



ゴール手前で、蒼がトップに踊り出た。



僅差で敗れた朱火組の応援席では、ため息の合唱が響いた。







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