はつ恋【教師←生徒の恋バナ】

・若菜サイド

まだ朝早く、登校していた生徒がまばらだったというのもあって…。



私が担任から殴る蹴るの暴行を受けたことは、校内に広まっていない。



とりあえず保健室の椅子に腰掛けた私は、翠子のロザリオを庇って痛めた右手首に湿布をしてもらう。



「ねぇ、鬼マサ…。」



「ん?」



「処分とかって、あるの?」



「少なくとも、担任には重い処分下るだろ。」



昔振られた女の性格にちょっと似てるからって、ストレスの捌け口に生徒を執拗に殴るようなバカの心配なんか、私はしない。



ってか、二度と顔見たくないからクビ切られろって思ってる。



「じゃなくて…。」



「坂下先生か?」



蒼に聞かれ、頷いた。



「うーん、派手にやってくれたからな…。」



蒼は困ったような顔をし、髪をかきあげた。



「鬼マサ、秘密裏に…っていうか、穏便に処理するとかって…できないかな?

ウチの家、かなりウルサイし…。」



「体中痣だらけで、家族にバレないわけないだろ?」



「階段で転んだって言うし。」



「桐生は、担任の処分が軽くなっても良いのか?」



良いわけじゃないけど…。



「条件、あるんだろ?

言えよ。」



「坂下先生が処分されるなら、その撤回。」



蒼は、私の頭にポンと手を置くと



「分かった、教頭に話してみる。

だけど、約束はできないからな。」



そう言って、頭をガシガシ撫でた。








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