はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
校門が、見えてきた。



そばで自転車を停めようとしたら、気が緩んでいたのかハンドルをとられた。



私は何とか転ばずに済んだけど、派手に音をたてて自転車が倒れてしまう。



校庭に目を向けると、坂下HRの生徒たちが最後のお別れをしている最中。



ここまで来たというのに、あの中にズカズカ入り込む度胸が私には無い。



ってか、そんな図々しさがあったら、昨日の亡霊騒ぎをものともせずに焼香を済ませてる。



それよりも、アンジェ先輩に構うことなく、坂下の病室まで会いに行くことができた筈だ。



途中で転んだから痛いというのもあるけど、疲れていた私は校門に寄りかかった。



ふと、さっき倒れた自転車が視界に入った。



カラカラと音をたてて、車輪が回っている。



マワル マワル マワル…



輪廻転生が実際にあるなら、坂下はいつこの世に戻ってくるだろう?



戻ってきた時には、私はまだこの世にいるのかな?



次に逢うことがあれば、二度と坂下の手を離したくはない…。



そう、思いながら…回る車輪を眺め続ける。



しばらくして、校庭のざわめきが大きくなった。



何だろうと覗いてみると、アンジェ先輩が蒼に頭を叩かれていた。



蒼が手にしていた分厚い冊子で…だったから、アンジェ先輩は相当痛がってた。



「何考えてんだ?校内では控えろ…って、前にも言ったよな?」



蒼が、アンジェ先輩に言い放つ。



周りのざわめく声から、アンジェ先輩が坂下にキスしてたんだと分かった。



私にできないことを、彼女は易々とするんだ…。



私は、唇を噛みしめて悔しがることしかできない。



蒼の指示で、校庭に出ていた卒業生が講堂に戻っていった。








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