はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
「そこで、何を…?」



人の声がした。



うっすら目を開けると、この前会ったお爺さんだった。



お爺さんは、書生を見た途端



「桐生先生のお弟子さんでしたな?」



そう言った。



顔に擦り傷を負った私は、個展が開かれている控え室に運ばれた。



「見ていましたよ、お弟子さんは酷いことをする人ですな。

桐生先生は、このことをご存じですかな?」



「知らないと…思います。」



ジイサンたちの目を盗んで足蹴にしたことを、出来損ないの私が言ったところで聞くわけがない。



「お孫さんが酷い目に遭わされたと聞けば、黙っていないでしょう?」



知ってたんだ、私のこと…。



ジイサンの弟子の顔、知ってたくらいだし当然だよね。



「嘘ついて、すみません。」



私は、頭を下げた。



「いや、構いませんよ。」



そう言うと、お爺さんは笑った。



あ、なんかさっきまでキリキリしてた胃痛が治まったみたい…。



「饅頭、食べますか?」



「はい、いただきます。

お腹痛いの治ったら、お腹空いてきました。」



「嘘をついたこと、気に病んでいたようですな。

可愛らしい娘さんを困らせた坂下くんには、罰を与えましょう。」



えっ!?





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