はつ恋【教師←生徒の恋バナ】
後ろのオジサンを気にして走っていたから、前なんて全然見てなかった。



いきなり顔面に衝撃が走り、尻餅をついた。



「痛っ…。」



目の前には、長身のイケメン青年が軽く微笑みながら立っていた。



「悪い、よそ見してた。」



イケメンは私に手を差し出すと、立ち上がらせてくれる。



コレって、もしかして…恋の予感ってやつ?



イケメンに見惚れていると、とんでもないことに気がついた。



声も出なかった私は、顔を真っ青にして、それを指差すことしかできなかった。



イケメンも、指差した方…自分の胸元に視線を向ける。



「ああっ!

学校に、化粧なんかしてくるんじゃねぇよ!!」



優しそうな微笑みは一変して、鬼のような形相で私を怒鳴りつけた。



イケメンのYシャツには、私が付けていた口紅がべったりと…。



「あちゃー。」



やっと私の口から出たセリフが、これ。



ってか、イマドキこんなセリフ言う奴いないし!



そんな時、私の背後で声がした。



「蒼先生、どうされましたか?」



目の前のイケメン、『アオイ』って名前なんだ?





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