はつ恋【教師←生徒の恋バナ】

声の方を振り向くと、さっきのオジサンだった。



私はアオイという教師の背中に回り込んで盾にすると、オジサンを見る。



ココの教師だったんだ…。



大声出さなくて、正解。



「聞いて下さいよ～、Ｙシャツに口紅べったり…。」



アオイが泣きを入れるような声で言うと、オジサンは笑いをかみ殺していた。



肩、震えてるけど。



「笑いごとじゃないですよ…。

ってかお前な、何で僕の後ろに回り込んでるんだよ。」



アオイは眉間にシワを寄せながら、私を引き離す。



ヤダヤダっ！



得体の知れないオジサンに、近寄りたくないし。



「多分、私を警戒しているのだと思われます。」



見知らぬオジサンに、いきなり腕掴まれて名前呼ばれたんだから、当たり前でしょ！



「坂下先生、一体何したんですか？」



このオジサン、サカシタっていうんだ…。



私はアオイの背中にくっついたまま、前髪を額にかからないように整えたイケてないメガネのオジサンを見上げた。