だから何ですか?


営業以外は服装は縛りのない会社だ。


それでも一流企業の社員としてあるべき服装である事は暗黙の了解だろう。


男であるならジャケット着用であったり、女子社員も可愛いとか大人っぽいというジャンルは多々あれど勤務的と言える装いだろう。


彼女もジャケットにパンツ、足元は今日も高めのヒールだと思う。


シックであって華美ではない。


それでも逆に彼女の魅力を高めているような。



「・・・・好きですよ」


「えっ?」


「伊万里さんの事です。『好きって言ったよな?』と先程確認されたので『好きです』と今お答えしました」


「あっ・・・うん、・・・そうっ!好きなんだよな?」


「はい、好きです。・・・だから、何ですか?」



ええ~・・・・。


だから何だって逆に何だ?


あれ?何でこんな会話になったんだっけ?と、思わず前の会話の回想を大急ぎでしてしまった程。


そんな合間にも無情にエレベーターは目的を遂行していて、耳に高い到着音が響き我に返った時には20階の点灯。


あっ、と思っている間にも静かに動きを止め始めているエレベーターと操作盤の開ボタンに手を伸ばしかけている彼女の姿。

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