だから何ですか?
この3人の中で戸惑って動揺に満ちているのは俺だけらしく、海音はいつもの如くからかう様にククッと笑い、亜豆はシレッとした感じに俺を見つめていて。
本当、訳が分からない。とクシャリ頭を掻いたタイミング、
「やっぱり、お茶・・・飲んでいきましょう?」
「・・・・」
その一言。
この混乱に言い訳をするでもなく、何事もないかのように帰り際に誘ったような言葉の続き。
俺の返答なんか待たず、そうなるものだと確信を持っている様に奥に歩き去って行く亜豆の後ろ姿はこんな状況なのにどこか安堵した。
見慣れた、いつもの亜豆の後ろ姿。
何にも混乱は解決していないというのに、そんな後ろ姿に葛藤は和らいで、それを後押しするようにポンポンと俺の背中を叩いたのは海音で。
「あがれって」
そんな誘いの一言。
フッと嫌味でない笑みを残し先に廊下を歩き始めた姿に一瞬は帰ろうかなんて意識が浮上するけれど、すぐに息を吐いて靴を脱ぐと上がるつもりでなかった部屋に踏み込んだ。
本当、どこまでもどこまでも予測不能。
捕まえたかと思えばスルリと抜けての繰り返し。
彼女との恋の攻略は可能?