だから何ですか?


「本当、おめでとうございます」


「もう何度目ですか?今だって老舗デパートの改装企画でコンペに出す企画立ててるんですよね?採用されれば制服のデザインなんかも含まれるって」


「まぁ、採用されればの話だけどね。採用される気で作るけどさ」


「採用されますって、」


「採用されなかったら私が乗り込んで行って文句言いますよ」



右から左から、いつも思うけれど女の子おしゃべりのパワーは凄いと思う。


別に不快ではないし可愛い範疇ではあるけれど、酔ってきているのかみんな声がデカい。


しかも異様に人を褒めちぎってくるから周りの目も引きがちで、そんな大した人間じゃないのだと嫌味なく抑えるのにも苦労する。


まぁ、金曜の夜で気分からして仕事からの開放感にハイになっているのは俺たちだけではない。


まわりの客であっても自分達の仕事の鬱憤やら自慢やら、時々恋愛絡みの話やら、色々な会話が入り混じって耳に入り込む。


賑やかで人間のパワーを一番強く感じる時間なんじゃないだろうかと思ってしまう。


そんな空気も決して嫌いではなく、自分のグラスに残っているビールを煽りながら周りに視線を走らせ店内を見渡した。



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