だから何ですか?
相も変わらず終始淡々冷静に投げられた言葉にはまともに切り返せた事が一度もない。
利益って、そんなもんはないだろうけれど、少なからず今まで好意を示してくれた女の子中には少しでもお近づきに!と大胆に攻めて来る子もいて。
てっきり亜豆もその類かと思った。
亜豆なりに俺との距離を狭めようとここにあるのかと。
だけどもまたもや肩透かし。
ここまで来ると段々自分がおめでたい思考する残念な男みたいで惨めにもなってくる。
それに亜豆も亜豆だ。
好きだという癖にまったく素振りや表情がそれに値しないのだ。
どう見ても好きな相手に向かう態度じゃないだろう。
ああ、そうか。
ああ、ああ、うん、そうだよな。
多分、これは
「亜豆なりのジョークってやつなんだ」
「・・・・はっ?」
ようやく合点がいったとばかりに彼女を指さし、自分で響かせた答えに今度こそ確信を持ったぞと数回頷いてさえもしてしまう。
だって、そう考えるのが一番自分が納得できる。
悲しいかなそんなつもりはないけれどモテ男的な噂が社内で立っているのは知っている。
そんな噂は亜豆の耳にも当然入っていて、ちょっとばかしからかってやろうとでも思ってのそれだったんだろう。