だから何ですか?


「えっ、ちょっ・・・だって、待って?」


「はい、」


「・・・・・・・・えっ?亜豆・・真面目に俺が好きなの?」


「普通・・・好意のない相手に『好き』だとわざわざ宣言したりしないと思いますが?」


「・・・・嘘だ」


「それは新手のプレイなんですか?何度も『好き』だと言わせて優越に浸りたいっていう」


「っ・・・だって、・・・だって、お前俺が好きって態度じゃねぇもん!」



さすがに思考も限界。


自分の今までのマニュアル外な好意の示し方には冷静も吹っ飛んで、『分かんねぇよ』とばかりに勢いある声音を発してしまったと思う。


さすがに一瞬様々な視線の注目を浴びたと思う。


それでも良くも悪くもみんな酒の入った賑やかな場だ、すぐに意識は俺たちから逸れていって元のざわめきに戻ったと思う。


最早軽く睨むような目で彼女を見つめていたんじゃないかと思う。


厄介な生き物を見る感覚。


そんな俺に物怖じせず、静かにスッと寄った彼女が覗き込むように小首を傾げ見上げてくると。



「・・・・好きですよ。伊万里さん」


「ヤメロ、」


「あなたが疑うから改めて告げただけじゃないですか。『好き』だなんて響きはそれこそ様々な女性から受けているでしょう?一体何にそんな憤るのか理解できません」



そう、聞きなれた響きだった。


今更特別に思う事もなく、深く考えるでもなく。

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