だから何ですか?
「・・・・私と伊万里さんの付き合いには特別関係ないし必要ないと思って」
「亜豆ぃ~・・・・」
「あはは、凛生らしい」
「だって、私と伊万里さんのお付き合いにあの時関係性があって必要だったのは海音君と私の関係だったでしょう?兄妹みたいなものだと完結したじゃないですか。そこに私の姉の話とか海音君と婚約してるとか私と伊万里さんのお付き合いには関係ないし」
「いやいやいや・・・・、その説明なかったからこんな風にややこしい事になったんじゃん?海音に付け入る隙作ったんだろ?!」
「・・・はあ、すみません」
「もういい・・・、もう必要ないと思う事まで全部今度から俺に撃ち明けろ」
「善処します」
何なんだよその腑に落ちないような手ごたえの無い表情と返事。
最初からその説明があったならこんな風に俺が戸惑う事なんかなかったし、余計な嫉妬を海音に抱くことなんかなかったのに。
勘弁してくれと頭を抱えた瞬間に同情的にトンと肩に手を置いてきたのは散々振り回してくれた海音本人で。
「諦めろ。アレ【達】はああいう生き物だから。恐ろしく可愛い反面、物凄く憎たらしくて、でもやっぱり可愛い。に収まるんだよ」
「・・・なんかお前が言うと重いし深いな」
「そりゃあ、【亜豆】に落ちてハマって振り回された大先輩としての時間があるからね。でも、自分一筋一途に好き好き縋ってくる可愛さは知れば知るほど癖になるぞ」
「今以上に?」
「2人とも、そう言う事は本人のいないところでして欲しいんだけど」
わだかまり解ければ妙に深みありきに聞こえる海音の言葉。
心強い参考書の様な、亜豆の攻略本の様な。