だから何ですか?
「なんか欲しいものある?」
「・・・・・」
相変わらずの屋上での一服タイム。
さすがに12月も半ばでのこの場所は寒さが身に堪えるな。と、赤くなっているであろう鼻を撫でながら発した亜豆への問いかけ。
そんな言葉に隣で寒気に紫煙を漂わせていた姿が静かに確認するような視線を向けてきて、それでもすぐに視線を真正面の景色に戻し煙草を咥えて一服すると。
「ありません」
「『ありません』ってお前、」
フゥッと煙と一緒に吐きだされた言葉はつれないと言うより張り合いがないと言うべきなのか。
淡々さらりと返された一言に視線を動かしても捉えるのは彼女のクールと言えそうな横顔ばかり。
こうして黙って煙草を吸う姿は相変わらず見た目ばかりはとっつき難くて笑ってしまいそうなくらいだ。
「張り合いねぇな」
「何に張りあうんですか。実際欲しくてたまらないものもないし、無くて困ってる物なんか・・・・あ、」
「お、あった?」
「丁度ピーラーが壊れてたんです」
「そのくらい自分で買え」
「何ですか。伊万里さんが欲しいもの聞いたんでしょう」
だから答えたのに、とほんの僅か不満げに表情を歪めた彼女は本気での発言なんだろうか?
いや、だってそういう事じゃないだろ?
つきあってて欲しいものリサーチっていたら答えるべきなのはそういう日常品とかじゃなくて。