だから何ですか?
そして相変わらず不慣れでウブな亜豆も健在。
求めてきたのは亜豆の方なのに、唇を重ねて応え、そこに要求以上の愛情を上乗せしてやれば途端に慌てて溺れて呼吸困難。
時折タイミングを図って何とか挿し込む息継ぎの音が聴覚を擽って余計な熱を上げにくる。
それが意図的でないと分かっているけれど、分かっているからこそ無自覚な煽りにもどかしく心で舌打ちを響かせるほど。
お互いに冷やされていた頬が異常な程冷たい。
それを温め合う様にキスを交わしながら密着させて、しっかりと体に腕を巻きつけ抱き寄せていたのも必然。
それでも、交わしていればいつまでもキリがなさそうだとなんとか自制をきかせ、名残惜しさ全開に渋々唇を離せば視界に映る色気を孕んだ微睡んだ表情の亜豆がいる。
俺も・・・亜豆馬鹿か。
「・・・可愛すぎんだよ」
そんな言葉を苦悶を孕んだ笑みで呟き落とすとこつんと額を合わせて深く息を吐いた。
その息が空気に触れて白く靄となって風に流れていくのを感じながら、ストンと自分の中に落ちてきた物があって。