だから何ですか?
これまた阿呆みたいに過剰反応した心は正直だ。
情報通な内容と『俺の事だし』なんて言葉の響きに変に期待にも似た感覚を覚え、でも静かにそれを落とされて。
いや、別に期待しているわけではないんだけども。
「それに、すでに女子社員が騒いでましたから。黄色い声で、」
「・・・・」
「『凄い!』『さすが!』『仕事も出来てカッコイイよねぇ』などなど、社内を歩けば至る所で似通ったボキャブラリーな言葉を耳にしました」
「・・・あの、なんか、・・・非難してる?」
特別、不愉快を示した様な口調ではなかった。
それでも終始淡々と紡がれる言葉にそんな疑惑をかけ、寄りかかっていた身体を離すと前にいた彼女の隣に並んで覗きこむ。
あっ、なんかやっとまともに視線が絡んだ。と、動揺もなく酷く冷静な眼差しで見上げて来た彼女に思って僅かなる緊張。
酷似するのは紫煙混じりの記憶。
「何故、私が非難を?」
何故?
何故って、だって___、
「俺を好きだから、」
そう、コレは自意識過剰な自惚れではなく、言われたのだ。
この目の前の彼女本人に。