だから何ですか?
そして、こいつも数年たって何を開き直ったのか。
なんで今更な不満を並べてきている?
勝手につきあってきたのはそっちで、勝手に俺を理想化して幻滅して離れていった癖に。
それを全部俺が悪いみたいに。
まぁ、面倒だし余計な突っ込みも入れないでおこうと、ただ言われる言葉を聞き入れ、感じ悪く笑い合う2人に息を吐いていれば。
「伊万里さん、向こうで甘酒貰って来たんですけど飲みますか?」
さらりと自然。
今まで不在であった亜豆がスッとその身を隣に並べると、持っていた甘酒を差し出して来てようやく目の前の2人に視線を走らせた。
「美人・・・」
そんな素直な感想をポツリと零したのは菜緒の彼氏らしき男で、その一言で我に返ったらしい菜緒が非難する様に男を一睨み。
そんな光景に、亜豆から受け取った甘酒を飲むふりをして思わず笑った口元を隠した。
「へ、へぇ、彼女いるんだ?まぁ・・美人じゃない」
いや、断然お前より中身も外見も美人なんだよ。
勝手に比べんな、亜豆の価値が下がる。
どうしてかいつだって人を見下し不愉快な値踏みをしてくるのが菜緒の悪癖。