だから何ですか?
そして、それを俺だけにぶつけるならまだしも、何先輩風吹かせて『あなたもそうでしょ?苦労するわよね~』的に亜豆に上から目線で語ってんだよ。
何様だ!?
てめぇは勝手にそこの彼氏といちゃついてろよ。
もう、つきあいきれないとさすがに『行くぞ』と亜豆に声をかけようと口を開きかけた時だ。
それまできょとんとした無表情で菜緒の言葉を聞き入れていた亜豆が俺を一度確認する様に視線を走らせてから菜緒に戻し。
「それはつまり・・・こんな大晦日っていうイベントとかに『鐘でもつきに行くか?』と誘われなかったって事ですか?」
「っ・・・えっ?」
「『ここのお守り御利益あるらしいぞ』とサプライズ的にプレゼントしてもらえなかったって事ですか?」
「はっ?」
「『今日少し、髪結ぶ高さ違うか?』とか自分でも気がついていない微々たる変化に突っ込んでもらえなかったんですか?『その服新鮮』とか言ってもらえなかったと?待ち合わせた早々に『ちなみに次の休み暇?』とか予定確保のデートに誘われなかったんですか?」
「なっ、」
「『ヤバい、キスしてぇ』とか、中毒の様にぼやいてその欲求埋めるように手を繋いでもらえなかったと」
「っ~~」
「せっかくお付き合いしたのに伊万里さんのいいとこ全部見せてもらえなかったなんて、・・・それは実にお気の毒でした」
終始淡々。