だから何ですか?




それが当たり前の事であるという様な自分を照らし合わせての言葉と、いちいち信じられないと驚愕して見せる亜豆の表情。


当然、先輩風を吹かせた菜緒の惨敗でプライドズタボロ。


ざまあみろ。と思いたい場面であるのに。


・・・すまん、少なからず俺にも羞恥って言う打撃が。


思いがけず今の・・・亜豆にどこまでも阿呆みたいに惚れ込んでいる自分を暴露されて自分でも再確認して小さく悶える。


菜緒も菜緒で何かを言い返してやりたいとワナワナ震えているというのに亜豆の言葉より優位に立てる物が見つからなかったんだろう。


結果、



「っ・・勝手にいちゃついてれば!」



そんな捨て台詞?


フンッと体ごと俺たちから向きを変え、自分の彼氏の腕に腕を絡めるとさっさと人ごみに消えて行く姿。


そんな姿にやれやれと息を吐いたと同時に自分の腕にもスッと亜豆の腕が絡んできて、そちらを振り返ればコテンと頭を預けてくる。



「・・・って、事ですので勝手にいちゃついてみました」


「フハッ・・・捨て台詞のおかげで思わぬラッキー?」


「ところで・・・あの人一体誰だったんですか?何かよく分からないけれど自分を彼女だったと思い込んでた痛い人ですか?」


「あははははははは、それ!あながち間違いじゃない」


「いやぁ、アレだけ邪険の様な事されててよく彼女だったって言い切れるなぁと尊敬はしますけど。そして伊万里さんの最低彼氏っぷり」


「いやぁ、もうその件については触れんで。亜豆には誠実に向き合って日々溺愛バカップルしてると自負してるんだが?」



もう、勘弁してくれ。


苦笑いで切り返し鼻の頭をポリポリとかいて誤魔化し。


< 420 / 421 >

この作品をシェア

pagetop