だから何ですか?
そんな俺をじっと探るように見つめてきていた亜豆が不意にクスリと笑って見せると。
「なんか、あの人のおかげで気分いいです」
「・・・へっ?」
「だって、勝手に頼んでもいないの私がどれだけ伊万里さんに思われてるか熱く語ってくれたんですから」
「菜緒の嫌味がこんな風に役立つとはな」
「あ、なんかムカつきました」
「何でだよ!?」
「親し気に名前呼ばれるとなんか無性に悔しいというか」
おいおい、何でいきなりそういう可愛い嫉妬見せてきやがる。
しかも若干不貞腐れた感じの口元にキュンとしてる俺は相当マズくないか?
だいたい、悔しいっていうけど・・・、
「あ~・・・凛生?」
「っ・・・・」
「ほらっ、お前下の名前で呼ぶと所かまわず赤くなるじゃねぇか」
「それは普段から伊万里さんが名前呼びするタイミングがタイミングだからでしょうっ」
まぁ、確かに・・・この反応が可愛いからついつい抱きつぶしてる時にばっか名前呼びしてるんだけどな。
ああ、もう・・・本当可愛い。
そんな事を思っていれば不意に周りがざわめき始め、意識を走らせればカウントダウンの声が徐々に大きく響き始める。
ああ、もうそんな時間なのか。と、亜豆に視線を走らせて、お互いにフッと小さく笑うと、
3、2,1・・・、
『HAPPY NEW YEAR!!』
そんな声と一気に沸いた周りを感じとりながら、
「あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとう」
「今年も片想いに張り切りましょう」
「ははっ、なんだよそれ」
「新年の抱負です」
どんな豊富だよ。
と、心で突っ込みつつ『それでいいか』と笑顔で受け入れる。
はてさてどんな片想いに奮闘する事になるのか。
まだまだ知る由のない波瀾万丈。
~大晦日、お正月SS~ END