だから何ですか?
押し付けるだけのキスをして、掠める程度に僅か離れた唇がその旋律を弾く。
好きです。と音でも感触でも与えられて、至近距離すぎる位置からもまっすぐ見つめてくる亜豆の視線はブレがない。
どこまでもまっすぐで透き通って・・・飲まれそう。
そんな事を思ってうっかり見惚れて不動になった隙だ、
「好き・・・、だから、」
今度はクールとは皆無。
酷くもどかし気にその響きを弾くや否や、今度は押し返さんばかり。
温いと感じるほど密着し、苦しいと思うほどしっかりと、背中で亜豆が非力に服を掴む感触を感じる。
多分片手に煙草を持っているせいでそれを気にして同じ力加減でない腕の感触もまた。
でも、それよりも何よりも、再び押し重なった唇が今度は貪るように啄んでくる事にゾクゾクと感じて、これまた予習効果かスルリと入り込んだ舌の熱に完全にしてやられた。
息を吸って、吐いて、吐きながら深く重ねて、絡んで、舐めて、吸って・・・。
自分が昨日教え込んだままのキスをしっとりと俺に答えの様に与えてきて、衝撃続きにただただ受け身でそれを感じていれば程々の頃合いに息継ぎの様に舌が離れ。
「好きだから・・・、
もっと・・・話しかけてもいいですか?」
「・・・・」
「もっと、気軽に、馴れ馴れしく声をかけても・・・」
「・・・っ、」
「ずっと・・・いつ・・声をかけようかって、」
「あず__」
「好きです、」
お前・・・
予習、完璧すぎるだろ。
どんな意地悪採点してやろうかと思ったのに完璧すぎて・・・逆にしてやられた。