だから何ですか?




もう、本当にさ、



「好きなんだけど、亜豆」


「・・・ありがとうございます」



だからなんでそんな手ごたえない反応なんだよ。


こっちとしては改めてしみじみと感じて『好き』だと言ったのに、相変わらず『だから何だ』と続きそうな感じにキョトンと俺を見上げてくる姿には苦笑い。


もう一度キスでもしてやろうかとそっと頬に手を添わせれば、



「あの・・・そろそろ離していただかないと背後の煙草が危うい気がするんですが?下手したら一番に被害が及ぶのは伊万里さんかと」


「お前・・・焦らしか?」


「焦らし?いや、普通に親切心からの忠告なんですが?」


「知ってる」


「はい。・・・だから何でいつもそんな不満そうに」



まったく意味が分かりません。


そう言いたげに方眉を上げにくる亜豆を不満に思いつつも解放する。


そんな俺に小首を傾げながら吸わずに灰になった煙草を灰皿に潰す亜豆が自分の腕時計に視線を走らせ、



「お先です」


「・・・・はっ?」


「仕事がありますので」



さらりと響いたその声に不貞腐れて背けていた顔を戻した時には入れ替わるように目の前を横切り歩き去る亜豆の姿。




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